<限定品個別販売!>artek(アルテック)特別版ドムスチェア バーチ/エルム

こんにちは、キナルのミキです。

北欧フィンランドのartek(アルテック)から11月に発売になった特別仕様のドムスチェア。
全国でも限られた店舗で販売されている、貴重な数量限定商品です。
当店では実店舗キナルLABOで先行して展示販売していましたが、ようやくオンラインショップでもご案内の準備が整ってきましたので、ご紹介いたしますね。


今回限定販売となったのは、2種の木を組み合わせた特別なドムスチェア。
フレームにはフィンランド産バーチ材、背板・座面には北米産エルム(ニレ)材を用いており、美しく流れるようなエルム材の木目に目を奪われます。
フレームのバーチは穏やかな表情で、2つの木が互いを引き立て合うよう。
それぞれに経年変化し一層味わいを増していく、そんな未来への楽しみも膨らむ一脚です。


ドムスチェアはゆったりと広めの座面で、包み込んでくれるような座り心地が特徴。
座面や背板は堅そうな印象を受けますが、身体に沿うよう考えられ、長く座っても疲れにくい設計になっています。
小さな肘掛けは、愛らしくも必要な機能を十分に果たしてくれる頼れる存在。
テーブルへの収まりも良く、お部屋をスッキリと見せてくれるのも嬉しいですね。

そのシルエットからは穏やかな印象を受けるように思います。
素朴な佇まいが温かい。
そしてどっしりと重いかと思いきや軽量で、その上スタッキングもできるから驚きです。


ドムスチェアがこのように考えられた椅子であるのには理由があります。
ちょっと長くなってしまうのですが、バックグラウンドを知ればよりこの椅子が愛おしくなると思いますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。





ドムスチェアは、1946年にヘルシンキの学生寮「ドムス アカデミカ」のためにデザインされました。
デザイナーはイルマリ・タピオヴァーラ(1914-1999)。
最も代表的な椅子として知られるドムスチェアの他に、ピルッカ、マドモアゼル、ファネットなどのシリーズを手がけたフィンランドのデザイナーです。
アアルトに強く影響を受け、パリのル・コルビュジェ、シカゴのミース・ファン・デル・ローエのオフィスで勤務した経験を持ち、アアルトの次世代にあたるフィンランド家具デザイン界の巨匠と言われています。

出典:artek.fi>デザイナー>イルマリ・タピオヴァーラ (最終閲覧日:2022年12月21日)https://www.artek.fi/jp/company/designers/ilmari-tapiovaara



ソ連がフィンランドに侵攻したのは第二次世界大戦中の1939年のこと。
その後継続戦争へと続きますが、戦時中の東部戦線で、イルマリ・タピオヴァーラは後方支援を担当したそうです。戦時中の限られた道具と資材で、最前線で戦う兵士のため、兵士が人らしい生活を送るための施設や家具の製作。
この経験は彼の後世のキャリアに大きな影響を与え、彼はいかに最小限のリソースで最大の快適性を生み出すことができるのか考えるようになります。

戦後、人々のより良い暮らしのために、イルマリ・タピオヴァーラは量産可能な家具の開発に注力します。1946年、彼と彼の妻アンニッキが手掛けたドムス アカデミカの総合インテイリアデザインの中で、ドムスチェアは作られました。

学生たちが寮という限られた空間の中で、本を読んだり、日々を送るための椅子。そのため、長時間机に向かっても疲れにくく、軽量でスタッキング可能といった機能面も考慮されたそうです。アイコンのような愛らしい肘掛けが、どうしてあのサイズで作られたのかというのも納得ですね。

戦後間もない時代は物資が手に入らず、フィンランドで調達しやすい木材(バーチ)が用いられています。イルマリ・タピオヴァーラは、より身体のラインに沿うよう、カーブを描く座面を積層合板で成形する技術を開発しました。無垢材の本体と積層合板の座面を組み合わせた椅子。ドムスチェアはこうして誕生したんですね。





学生たちの勉強椅子として生まれたドムスチェアは、現在ではダイニングチェアとしても人気です。

実際に座ってみると、広めの座面は程よいゆとりが感じられ、座面のカーブはもちろん背あたりも良く、姿勢を崩してみても心地が悪いと感じる部分がありません。
肘掛けは身長154cmの私には少し遠いのですが(他167cmのスタッフも同様でした)、あるとやはり楽に感じますし、片肘をつきながらの書き物やリラックスした体勢での肘置きなど、快適性に一役買ってくれています。
また出入りのしやすさやテーブルに寄せた際の収まりの良さといった部分でも、これがベストと感じさせてくれる使い勝手の良さがあります。

学生寮の一室という限られた空間で過ごす毎日のために考えられたものであること、そして当初の目的を超えて、フィンチェア(フィンランドの椅子)と称され、本国フィンランドの公共施設などさまざまなシーンで愛されているのも深く頷けるデザインです。


座面高さは一番高いところで46cmと少し高め。身長154cmの私は地面に足が着かず、167cmのスタッフに座ってもらったところ足が着きました。
一方で、一般的なテーブル高さである72cmのテーブルに合わせてみると、読み書きや食事にも程よく感じます。身長167cmのスタッフは姿勢良く読み書きができ、食事もしやすい高さとのことでした。この辺りは身長などにより個人差がありますので、お持ちの椅子やテーブルと比較しながら検討していただければと思います。
足が着かないことが気になる場合は、少し高さのあるフットウォーマーなど足元に置いて調整していただくのも良さそうです。

深く腰掛けると足が地面に着きません(画像上、モデル身長158cm)。
肘掛けは小柄な方には少し遠く、姿勢を前に崩した際ちょうど置ける高さになります(画像下)。

デザインから70年以上経た今もなお、広く愛されているドムスチェア。
日本ではミナペルホネンのセレクトショップ「call」内のカフェの椅子として並んでいたのが印象に残っています。
かなり前に食事してから久しく行けていませんが、またあの場所でドムスチェアに座って食事がしたいなあと思います。(恋しい・・。)

サラッと書きましたが、70年以上ってすごいことですよね。2世代、3世代も前の時代に作られ、今も製作されている上に限定版も出ているだなんて。

そして時代は変わって、世界はまた混乱の中にあります。人々のためのデザインを実直に目指したタピオヴァーラは、今の時代ならどんなプロダクトを作るのでしょう。


エルム材は美しくも個性豊かです。
キナルでは木目をお選びいただけるよう、それぞれの個体画像をご用意しました。
一点ものの木目を選び、これからの暮らしを共にする椅子。
数年、数十年後の変化も楽しみですし、いつか受け継がれる椅子になるのかも。
そんな楽しみを胸に、かけがえのない一脚をお選びいただけますと幸いです。

ミキ


■12月23日(金)12時 販売スタート!
ドムスチェア特別版 バーチ / エルム は こちら

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